マンガの中の聴覚障害者 ↑トップページへ
自分のウェブサイトから生まれた、ちょいとした副産物を書こう。
アクセシビリティと SEO、一見は結びつかない組み合わせに見える。が、実は大いに関係があることがわかった。そのきっかけは、この自分のサイト「マンガの中の聴覚障害者」だった。
あまり表だって書いていないが、実は明確な制作方針を持って「マンガの中の聴覚障害者」のウェブページの作り方をしている。
このウェブサイトで使っている HTML 規格は、XHTML 1.1 だ。これだけでなく、ルビや縦書き、CSS (カスケーディングスタイルシート) を積極的に使用している。
これは自分の勉強・研究のためもある。新しい規格で、どこまでできるのかを試しているわけだ。
世のウェブページで使われている HTML 規格は HTML 4.0 か 4.01 の Transitional、もしくは HTML 規格を指定していないものが大部分と思う。
なお、ルビや縦書きは MS Internet Explorer 5.5 以降でないと見られない。
では MS Internet Explorer にあわせて作っているのかというと、そんなことはない。単に、ルビや縦書きに対応している他のブラウザがなかなか出てこないだけだ。実は、代替スタイルシートも用意してあるのだが、こちらは Netscape 6.0 以降、Mozilla、Opera なら使用できるのに、MS Internet Explorer は未対応。
ま、そういうことだ。単にブラウザ側の対応状況がそろっていないだけで、特定のブラウザにあわせて作っているわけではない。対応していないブラウザでも、閲覧に支障はないように作ってある。そのため、気づいていない人は多いと思う。
この機会に言わしてもらうが、「MSIE X 以降でご覧ください」「Netscape X 以降でご覧ください」と書いてあるウェブサイトは、無礼だと思うぞ。コレ見ると、ムカーッと腹が立つ。制作者の怠慢なのに、その尻ぬぐいをお客様にやらせるとは何だ!! やろうと思えば、特定のブラウザに依存しないページの作り方ができるものなのに。元々 HTML ってのはそのための規格なのだから。
心当たりのあるヤツは、海より深く反省してただちにこんな失礼な文言を削除してもらいたい。
正しい文法で書く、というのは本当はアタリマエな話なのだが、どうも世の中はそうなっていない。
文法チェッカ Another HTML-lint でチェックすると、零点以下の点数が出てしまうウェブページがそこらにいっぱいある。
自分のウェブサイトを持っている人で Another HTML-lint を知らない人は、この機会に挑戦してみていただきたい。がくぜんとするはずだ。大多数は「がんばりましょう」と言われてしまう。まあ、Another HTML-lint の評価は宗教的な部分もあり絶対的なものではない、と僕も思う。しかしながら、それでもせめて「ふつうです」くらいは取れなきゃ話にならんと思うのだが。
自分のサイトはどうなのかって? もちろん、百点満点の「たいへんよくできました」である。左のバナーをクリックすれば自分のサイトの採点が出るので、ご覧いただきたい。
HTML-lint のチェック内容に変更があり、今では百点満点は取れなくなってます。
つーか、HTTP レスポンスヘッダなんてウェブサーバ管理者でなくちゃ設定できんわい!! プロバイダのウェブサービスを利用しているユーザには、無理な相談。でも確かに、HTTP 規格上はそうするのが正しいんだよなぁ……きちんと使えば、ウェブで文字化けする問題の根本的な解決になるし。何とかならないものか。
多くの人々に見てもらうウェブサイトなら、アクセシビリティに配慮するのはアタリマエな話なのだが、どうも世の中はそうなっていない。Lynx や w3m のようなテキストブラウザで閲覧すると、中身が読めないウェブページがそこらにいっぱいある。晴眼者でさえコレだから、盲人となるとその苦労たるやさだめし、と思う。
自分のサイトはどうなのかというと、バリアフリーを推進する「みんなのウェブ」アクセシブルサイトの紹介(5)個人サイト では、「全てのページで「A」となっています」という評価を受けている。
実を言うと、自分のサイトは「AA」に限りなく近いランクを持っていると自負している。
なぜ「AA」を取り逃しているのかというと、Netscape 4.x に配慮しているから。このブラウザはスタイルシートの対応の仕方が独特で、他のブラウザとはかなり違う挙動をする。これに配慮して、Netscape 4.x でも問題なく閲覧できるように作ってある。コレが「AA」の条件に反しているわけ。
つまりは Netscape 4.x を無視すれば「AA」は取れたのだ。しかしそういう事をすれば、Netscape 4.x を使っているユーザーを切り捨てることになる。狭義のアクセシビリティにはかなうかも知れないが、広義のアクセシビリティには反する行為だと思うので、「AA」は捨てた。
「マンガの中の聴覚障害者」を公開してから一年ぐらいたった後、Google で検索すると自分のサイトが上位に来ることが多いのに気づいた。
二つ三つのキーワードでたまたま上位に来たというのはあるかも知れないが、自分のサイトではいろいろなキーワードで上位に来る。これは偶然ではなく、何か上位に来やすいしくみが自分のページにあるのではないか。
調べてみた。いろいろな検索結果を以下に示す。
2003年6月28日に Google で検索した。「日本語のページを検索」という条件で検索している。
キーワードが単数の時 | 検出件数 | 順位 |
---|---|---|
小栗判官 | 1900 | 1 |
説経節 | 691 | 5 |
遥かなる甲子園 | 636 | 1 |
遙かなる甲子園 | 266 | 2 |
まぶしい風 | 101 | 2 |
美しい瞳 | 4460 | 6 |
山本おさむ | 1450 | 8 |
ヘレンケラー | 9580 | 6 |
ツィオルコフスキー | 518 | 3 |
栄光なき天才たち | 581 | 5 |
ベートーベン | 41000 | 29 |
ルードウィヒB | 478 | 11 |
山本和範 | 928 | 5 |
一寸の虫にも | 2070 | 8 |
救急ハート治療室 | 737 | 5 |
龍狼伝 | 2050 | 9 |
手話コーラス | 2010 | 1 |
手話通訳 | 28400 | 19 |
キーワードが複数の時 | 検出件数 | 順位 |
---|---|---|
説経 小栗判官 | 194 | 1 |
電話 手話 | 48500 | 10 |
格闘技 聴覚 | 967 | 1 |
聴覚障害 マンガ | 901 | 1 |
聴覚障害 漫画 | 929 | 2 |
聴覚障害 まんが | 155 | 5 |
障害 マンガ | 32100 | 6 |
障害 漫画 | 36300 | 3 |
手話 マンガ | 19400 | 1 |
手話 漫画 | 20400 | 5 |
手話通訳 テレビ | 5100 | 1 |
手話通訳 マンガ | 412 | 1 |
手話通訳 漫画 | 401 | 6 |
宇宙 手話 | 5640 | 2 |
手話 フォント | 1340 | 1 |
著作権 マンガ | 45000 | 10 |
なお、2003年6月28日の時点での Google ページランク は 4 である。
ただし、2003年5月14日に調べた時はページランクは 5 だったので、前より下がったことになるのだが、実は検索結果の順位はあまり変わっていない。少し上がったものもあれば少し下がったのもあり、ならすとわずかに上昇となる。
ページランクが下がった理由は見当がついている。
それよりも、ページランクが下がったにもかかわらず、検索結果の順位にはあまり影響していない事に気づいてほしい。
※ 2004年2月現在では、ページランクは 5 になってます。実はその前は 6 でした。けっこう変わるもんですねぇ。
なぜ自分のサイトが検索結果で上位に来やすいのか?
自分でいろいろなサイトを調べてみた結果、「HTML 文法的に正しい書き方をする」「アクセシビリティに配慮する」この二つが影響していることがわかった。統計処理をしてみて、それを裏付ける結果が出たのだ。
もちろんこの二つだけでは決まらないので、あまり強い相関関係は見られなかった。しかし常識で考えてみても当然の結果だろう。ランキングを左右する条件は他にもあるのだから。「正の相関関係がある」ということがわかったのは、少なからず意味がある。「HTML 文法的に正しい書き方をする」「アクセシビリティに配慮する」がランキングを左右する条件になる事を証明したのだから。
この統計調査は、やや専門的で一般の人には難解だと思うので、ここでは紹介しない。
以上、アクセシビリティが検索サイトでのランキング向上に役立つことを示した。
自分の制作方針を明確にし、徹底して実践したからこそ得られた成果なのだと思う。
中途半端に妥協してナアナアで作ってしまっていたら、上にあげたようなことはわからずじまいですごしてしまっただろうと思う。
この事は、SEO でもアクセシビリティは活用できることを意味する。
この事に気づいてから改めて調べてみると、すでに気づいている SEO 業者がいた。「みんなのウェブ」でも、この業者が顔を出している。アクセシビリティが有利になることに気づいたのはわりと最近のようで、これからの SEO のトレンドとなりそうだ。
もちろん、アクセシビリティの普及にもプラスとなるので、僕としても歓迎したい。
アクセシビリティがなぜ検索ランク向上につながるのかというと、「検索エンジンに対するアクセシビリティ向上にもなってるから」で説明できると思う。
検索エンジンは、検索ロボットを使ってウェブサイトのサーチを繰り返している。検索ロボットにとってわかりやすいウェブサイトの作り方をしていれば、内容をもれなく採取でき、検索エンジンにとっても有利に働くわけだ。
Google 自身が SEO についてどう考えているかというと、どうやら容認の方向らしい。
数年前は、自分のサイトが上位に来るならどんな手段をつかってもいい、というなりふりかまわぬ SEO のやり方が横行していた。その結果、検索結果の上位にポルノサイトが独占してしまうことになった。こんな事では、検索サイトは役に立たなくなってしまう。
もっとも今では対策が進んでおり、当時に使われたような手段では上位に上がらなくなっている。それどころか、検索エンジンに対する spam 行為だとして、かえってランキングから除外されてしまう。
アクセシビリティに配慮し、適切なキーワードの使い方をする、という穏やかな SEO のやり方なら容認する、というのが Google の考え方なのだろう。
もちろん、このやり方だときちんと中身のあるウェブページを作らなければならなくなる。ちゃんとした内容のあるウェブサイトが増えるなら、Google としても歓迎であろう。ユーザーの立場も、同じく歓迎だ。
実は、以前はここに手話コーラス団体に対する挑発的な文章がありました。これを書いた当時は、「手話コーラス」で Google 検索すると自分のページ「最初の手話コーラスマンガ」がトップに来ていたのです。
別にねらってやったわけでは無いのですが、調べてみると、手話コーラスについてきちんと解説したサイトが他に無いのが原因だとわかりました。「こういう活動してます」的なレポートばかりで、「手話コーラス」そのものをマトモに紹介していないのです。手話コーラスについてちゃんと説明していないから、結果として僕のページが一位になってしまうのです。
逆に言えば、他のサイトで手話コーラスについてちゃんと説明したページを作ってくれれば、Google 検索結果で一位を取るのは簡単な状態だったのです。自分の「最初の手話コーラスマンガ」は、どちらかというと手話コーラスについて批判的な内容でした。こういうページが「手話コーラス」で検索すると一位に来てしまうってのは、手話コーラスの発展にとってあまり良いことではないと思いました。そこであえて次の文章を掲載しました。
手話コーラスをやってる奴ら、遠慮せずにオレから検索トップの座を奪い取れ!!
オレはべつにトップの座なんざ欲しくはないんだよ。「手話コーラスやれば聴覚障害者にも音楽がわかる」なんて脳天気なバカ者に読ませるために、ランク上位に入れば十分なんだ。
それに「手話コーラスって何なんだ?」と思って検索する人はけっこういると思うぞ。そういう人にとって、真っ先に目にするのが手話コーラス批判なページでどーする!? そんな人に第一に必要なのは、手話コーラスをきちんと解説したページじゃないのか。そういうページが一番に来るべきなんだ。なぜ、そういうページを作らないんだ!!
自分でも挑発的だとは思います。が、本気でそういうページを作って欲しかったのです。また「今なら簡単に一位が取れる」とわかっていたから、あえて挑発したのです。
ランキング上位に入りやすいウェブページの作り方はこのページでちゃんと説明してありますし、あとはこれを参考にして、ちゃんと手話コーラスについて説明したページを作ってくれれば良かったのです。そういうページが、本当に一位に上がるはずだった……が、そうならなかった。
どうなったのかというと、ちゃんと解説したページを作ろうとしないで、僕のサイトに対する妨害行為を始めたのでした。これについては、「このサイトへの悪質な妨害行為」にまとめました。
マンガの中の聴覚障害者 ↑トップページへ