マンガの中の聴覚障害者 ↑トップページへ
著作権について
- 絵の引用について
- マンガの評論をやるには、絵の引用が必要になります。となると、著作権の問題は避けて通れない。
- 僕の過去の著作物との関係
- 僕が以前に他の所で書いた評論の再利用について少しだけ。
- このウェブページの著作権について
- このウェブページの扱いについて。
- 自分への取材について
- 取材については、著作権とは別の問題なので別のページになります。[2010/8/8 追加]
問/ マンガのカットが入っていますが、許可を取っているのでしょうか?
答/ 掲載許可は取っていません。
問/ え、許可もなしに載せていいのですか?
答/ 引用の条件を守っていますから、問題ないはずです。
著作権法での扱い
著作権法の中では、「引用」について次のように定められている。
第二章 著作者の権利
第一節 著作物
第五款 著作権の制限
(引用)
第三十二条(1) 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
(2) 国若しくは地方公共団体の機関又は独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
医書出版協会では、「引用」の条件を次のように説明している。
- 執筆上、その文章、図表を取り込み使用する必然性がなければならない。
- その著作物がすでに公表されていること。
- 引用しようとしている文章の長さや、図表の数・量が客観的に正当な範囲である。
- 原則として原形を保持する。改変使用の場合はその旨の表示をする。
- 原著者の名誉を害せず、原著者の意図に反した使用法をしない。
- 引用されたものが、それとわかるように明示する。
- 出典を明示する。
この「マンガの中の聴覚障害者」では、マンガのカットもまた著作物の引用として、上記の引用の条件を守っています。特に問題になることはないと思います。
掲載許可を取らない理由
実は以前は、こうした障害者関係のマンガ評論を書く際には、出版社に連絡して掲載許可をとっていました。
しかし、次の問題があるため、ウェブページ公開時には掲載許可なしでいくことにしました。
- 必ずしも掲載許可が得られるわけではない。
- 障害者に対して理解があり、評判を得ている作品なら、お願いすれば許可は得やすいだろうと思います。
しかし、残念ながらそういう作品・作者ばかりではないのです。作者が障害者差別にあたるとは気づかずに描いてしまう事もありますし、そうではないにしても障害者の立場から評論を書かれるとなると、批判的な事を書かれてしまうのではないかという恐れが先に立って、許可を出しにくくなるでしょう。
許可がおりたにしても、出版社から条件を付けられることがままあります。それでは、こちらの思い通りの評論なんて書けなくなってしまいます。
- 作者とは独立の立場で評論したい。
- マンガによっては、批判的な事を書くことがあります。
そこでいちいち作者・出版社に連絡を取っていては、そこにつながりができてしまい、批判的なことは書きにくくなってしまいます。必要な批判は、遠慮無く書きたいのです。
- 今後は掲載許可をとらない方向になる。
- 確かに、従来はマンガのカットを掲載する場合は、掲載許可を取るという業界の慣習がありました。
しかし、今後はいちいち掲載許可を取らない方向になるはずです。ただ、これは最近の新しい動向ですので、未だに業界の慣習として定着してはいないようです。出版社の方でも、著作権の事について詳しく知っている人は少ないそうです。
このページでハッキリと断定した言い方をしてないのも、まだ慣習としては定着していない事が大きいからです。まあ「これは問題があるんじゃないか」というクレームは出てくるかも知れませんが、実際には裁判に持ち込むのはかなり無理があるでしょう。弁護士に相談しても、「これは正当な引用にあたる」でケリがつくはずです。
障害者を扱ったマンガを紹介した本「マンガの中の障害者たち」でも、掲載許可は取っていません。
他にも、近年のマンガ評論本では掲載許可を取らないものが増えています。
しかし、「引用」と称しさえすれば何をしても許されるわけではないのです。正当な引用であるためには、前に示した引用の条件を満たす必要があるのです。
この点で爆弾を踏んでしまったのが、上杉聰「脱ゴーマニズム宣言」だと思います。小林よしのり「新・ゴーマニズム宣言」のカットを無断で使用したとして、裁判で争われています。もっともこの件については、著作権だけでなく他の要因の方が大きいと思いますので、単なる著作権の裁判だとは考えない方がいいと思いますが。
追記
「脱ゴーマニズム裁判」、どうやら決着がついたようです。
脱ゴーマニズム裁判関係
と思ったら、逆転敗訴……。
まあ、僕個人的には小林よしのりと上杉聰の間の争いなどどうでもいいことなのですが、最高裁判所でマンガの引用が適法であることを認める判決が出たのは、とても大きい事だと思います。
実は、以前にいくつかの本で障害者に関するマンガ評論を書いてます。このウェブページでも、そうした過去のマンガ評論を再利用しています。
ただ、過去に書いた事をそのまま丸写しはしません。その後の新しい知見も加えて、一から新しく書き直しています。
以下に、僕の書いた過去の著作物を示します。
- 「みみより」みみより会発行『まんがの中の障害者』
- 聴覚障害者団体「みみより」の会誌に、1981~1983年にかけて連載したマンガ評論です。聴覚障害に限定しておらず、障害者全般にわたっていました。
- 「漫食虫」
- 日本ろう者漫画倶楽部の同人誌です。聴覚障害者を扱ったマンガの紹介を書いています。
- 「漫画倶楽部だより」
- 日本ろう者漫画倶楽部の会誌。『聴覚・言語障害者、手話や口話などの出てくるマンガ』という連載記事に書いています。
まだ他にもマンガ評論誌「ぱふ」に載ったものもありますが、たぶんこのウェブページに活用されることはないと思います。
まあ、このページの扱いは一般的なウェブページと同じ、常識的なものでいいです。
と言っても、その「常識」がわかっていない人もなきにしもあらずですし、自分勝手な解釈のしかたをする例もありますので、書いておきます。
- 「マンガの中の聴覚障害者」を自分のページにリンクしていいですか?
- かまいません。
また、いちいち僕に「リンクしました」という連絡を入れる必要すらありません。
「ウェブマスターにリンクした旨を連絡するのがマナーだ」と思っていらっしゃる方がいるようですが、実は別にマナーでも何でもありません。WWW は、どこからでもリンクをはられる事を前提にして作られたシステムなのです。リンクされることを拒否する方がおかしいのです。
これについては、「リンクに許可は不要です」というウェブページがよくまとまっていますので、ご覧ください。
しかし、「今後のおつきあいのために、リンクしましたというあいさつを入れておこう」というものでしたら、これはかまいません。これを機会にして、お互いの情報交換をしよう、という考え方もありますし。
まあ、ウェブマスターによっては「自分のページがどこにリンクされているのか、気になる」ので「自分に連絡して欲しい」と記しているようです。しかしまあ、これは別に守らなければならない義務ではありません。「気にしているようだから、一応連絡しとこう」でいいし、無視してもかまわないと思います。
- 書いてある内容を、転載したい。
- その場合は、事前に連絡をお願いします。そうでないと、無断転載となりますので。
許可するかどうかはその内容次第ですが、必ずしも拒否するつもりはありません。例えば、手話サークルなどで聴覚障害者についての勉強となる資料として配付したい、といったものなら許可すると思います。ただ、商業利用、雑誌とかに内容をそのまま載せる、というのは困ります。
あ、もしやろうとしている事が「転載」でなくて「引用」なのでしたら、これは僕に断る必要はありません。理由は、前掲の「絵の引用について」でも述べられているように、法律で認められている正当な権利だからです。
- 自分のページにコンテンツとして入れ込みたい。
- ダメっす。僕のページを読者に閲覧させたいなら、リンクしてください。
フレームを使って他人のページを無断で自分のページの一部として入れ込んでしまうケースがありますが、これはやっちゃダメです。無断転載にあたります。実際に、フレームを使って新聞社のページを自分のコンテンツとして表示していた過去の例がありましたが、さすがに新聞社から訴えられて廃止されました。
元々、WWW は論文の閲覧のために生まれたハイパーテキストのシステムなんです。参照したい文献を示して簡単に閲覧するためにあるのです。他人の成果物を自分のために取り込んで勝手に使うためのシステムではないのです。
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