自分に取材しようと考えているマスメディアの方へ

自分に対して時々、マスメディアから取材の申込があります。たいていは、顔文字の起源に関するものでした。ほとんどは、取材に応じる方向で対応しています。実際に、きちんと記事にしていただいています。

が、特定のメディアだけがこの例外になっています。テレビ局です。

事実、テレビ局から取材の申込がこれまでに何件もありましたが、実際に放送されたのは一件だけしかありません。NHK の「クローズアップ現代」です。

NHK クローズアップ現代
絵文字の謎 ~IT時代・変わるコミュニケーション~ 2002年1月24日 放送

これ以外は、テレビ局側の対応に問題があったために、取材にすらいたらなかったものです。

何が問題だったのか

問題点は二つありました。

  1. フリーメールだけで連絡を取ろうとする。
  2. 聴覚障害者相手に、字幕放送の無い番組のための取材をしようとする。

フリーメールだけで連絡を取ろうとする

自分の場合は、音楽を伝えない手話歌をやっている偽善者連中から、フリーメールで嫌がらせを受けているという事情があります。自分のサイトで、手話歌は本当はろう者に音楽を伝えていない、という彼らにとって不都合な事実を暴露していますので。

そのために、メールサーバ側でフリーメールを着信拒否しています。メールがあったかどうかすら、こちらにはわからないようになっています。が、それでなくても、フリーメールで発信元をごまかす迷惑メールが多数流通している現実があります。フリーメールは、信頼できるメールとはとうてい言えないのです。

取材申込をする時点では、たいてい初対面になります。一度も会った事のない初めての相手に、平気でフリーメールを送りつける神経が、信じられません。それなのに何ともあきれた事に、会社経由、聴覚障害者団体経由で回り道をしてでもなんとか連絡を取ろうとするのです。フリーメールのままで!

マスメディアが取材目的で申し込むのでしたら、まず取材相手の信頼を得るのが第一なはずです。それなのに、フリーメールを送りつけてどうするのか。「自分は信用できませんよ~ えへらえへら」と言っているのに等しい行為です。申し込まれた本人にとっては、マスメディアをかたった詐欺目的を疑うのが自然でしょう。

フリーメールでなくちゃんとしたメールアドレスで出し直すよう要求する事になります。当然の対応でしょう。これでぷっつりと連絡して来なくなる者、改めて連絡してくる者とまちまちです。ちゃんとしたメールアドレスで連絡し直してくれた場合、改めて取材についてメールでやりとりする流れになります。が、先にフリーメールを送りつけられた時点で、こちらの心証を害しています。相手に良い印象を持たなくなっているのです。

それくらいだったら、最初からきちんとしたメールアドレスで取材申込をした方が得策なのです。余計な回り道をしなくてすむのですから、連絡も早くすみます。この程度の事は、常識で考えてもわかるでしょう。
こんな当たり前のことが、どうしてわからないのか。

以上の説明でもなおフリーメールを使いたがるようでしたら、自分への取材申込時にあわせてフリーメールを使う理由を説明願います。
実は、きちんと理由を説明した人は、今までに一人もいないのです。この事から、取材者にとって自分本位な理由でフリーメールにしているのだと推察しています。自分勝手な行為だという自覚があるから、説明できないのでしょう。

NHK クローズアップ現代ではどうだったか。
ちなみに、NHK クローズアップ現代の場合は、最初から NHK のメールアドレスで記者の取材申込を受けました。何の特別な事も無い、ごく普通なメールのやりとりでした。

字幕放送の無い番組のための取材をしようとする

これも、常識で考えてもわかると思います。最初から聴覚障害者を切り捨てている、聴覚障害者を差別するような番組に、誰が出たいものか。

字幕放送がない番組では、取材された自分についていったい何が話されているのかさっぱりわかりようが無い。そういう状況になることがわかりきっているから、テレビ局から取材申込があった時にまず字幕放送の有無を確認しています。字幕放送が無いとわかれば、字幕をつけろと要求します。自分の出ている場面だけではなく、番組全体につけるよう要求しています。

実は、放送法で字幕をつける事が義務づけられています。本当は字幕がない番組自体、あってはならない事なのです。ただ残念ながら放送法では、努力目標とされており罰則の規定がありません。そのため、未だに字幕のない番組がけっこうある状況です。

過去のケースで、聴覚障害者の出ている場面にだけ字幕をつけた例があるのは知ってます。その番組ではそれっきりで、きちんと字幕をつけられるようにならなかった事も知ってるのです。その場しのぎの対応だけで済まされてしまうのです。自分の本当の要求は、すべての番組に字幕をつける事なのです。少なくとも、自分の出る番組にはきちんと字幕をつけてもらいたい。
聴覚障害者としては、当然の要求だと思います。

NHK クローズアップ現代ではどうだったか。
実は、取材された時点では字幕放送化されておりませんでした。現在では字幕がつくようになっておりますが。しかし記者のほうも、聴覚障害者にとっての字幕の必要性は理解していただいておりました。第三者が番組に対して字幕をつける事を認めてくれたのです。著作権の主張はしない事になっておりました。
そして実際に、PC 要約筆記をやっているボランティアたちの手で字幕化され、字幕のデータはフリーで聴覚障害者たちに配布されました。自分が出ていた場面だけではなく、番組全体を字幕化しています。これで、何の問題も起こりませんでした。

対応に問題があるマスメディアには、応じる義理は無い

テレビ局で、きちんとした対応をしていただけたのは、このクローズアップ現代だけでした。これ以外は、全て問題のある対応ばかりでした。同じ NHK の番組でさえ!
一番最近のダメダメは、NHK の「みんなでニホンGo!」でした。頑固にフリーメールを使ってきたのです。当然、きちんとしたメールアドレスで出し直すよう要求しました。返事はありませんでした。

NHK クローズアップ現代の場合は、放送法の改正前だったので、字幕の問題はこちらも柔軟に対応しました。すでに改正された今では、同じ方法はとりません。テレビ局の方が、責任を持って対応するべき問題なのです。

テレビ局の取材の問題について少し調べてみましたが、やはり僕以外でも問題を起こしているようですね。軽く検索しただけでも、テレビの取材の問題がぞろぞろ出て来ます。こんなやり方を改めないようでは、テレビの将来は無い、テレビなんか要らないと思います。


[記:2010年8月8日]